鶴の怨念返し<夫鶴>

 むかしむかし、あるところに、佐太郎という男が住んでいました。

 冬の寒い夜に、お腹を空かせて、眠れぬ夜を、過ごしていました。
 明け方に、騒がしく、バタバタという音がしたので、外に出てみると、
 鶴が羽を大きく羽ばたかせて、飛び立とうとしていました。
 しかし、田んぼで一夜を過ごした鶴は、足が水と一緒に凍りつき、
 飛び立てずに、羽をばたつかせていたのです。

 それを見た佐太郎は、鎌を持って鶴に近づき、
 暴れる鶴の首をつかみ足を切って、家に持ち帰り、
 鍋にして、おいしく食べたとさ。