2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

1.軌道の描画方法

先ず、焦点を原点とする彗星の軌道を描きます。

第五章 彗星の軌道

彗星の軌道を日心黄道座標に配置する方法について説明をします。

地球の軌道

地心黄道座標系における太陽の軌道をz軸に対して180度回転させて、太陽の中心に平行移動させた軌道が、日心黄道座標系における地球の軌道になります。 太陽の軌道要素である、近日点黄経ω'を ω'=ω'±180度 としたものになります。

地球の日心黄道直交座標

太陽の地心黄道直交座標S(Sx,Sy,Sz)、地球の日心黄道直交座標E(Ex,Ey,Ez) とすれば、地球の位置Eは、次の式で表されます。 E=−S , (Ex,Ey,Ez)=(−Sx,−Sy,−Sz)

4)地心黄道直交座標

太陽の地心黄道直交座標(Sx,Sy,Sz)は、太陽の地心距離である動径rと太陽の地心黄経λsから、次のようになります。 ( Sx,Sy,Sz )=( r cos λs ,r sin λs ,0 )

3)地心黄道座標

太陽の地心黄経λsは、真近点角νに近日点黄経ω'を加えた角度になります。 λs=ν+ω' 太陽と地球は、同じ黄道面にあるので、太陽の黄緯βsは、βs=0 になります。 よって、太陽の地心黄道座標は(λs ,0)になります。

2)真近点角

計算した軌道要素の値から、彗星の楕円軌道と同じ方法で、太陽の地心距離である動径rと真近点角νを求めます。

1)時間引数

時間引数Tは、位置を求めたい日時のユリウス日JDから、次の式で求めます。 T=(JD−2451545)/36525 (J2000.0) この時間引数Tを用いて、位置を求めたい日時の軌道要素の値を計算しておきます。 <参考> POV−Rayにおける太陽の軌道要…

太陽の地心黄道直交座標

太陽の軌道要素は、平均黄経L、近日点黄経ω'、軌道離心率e、軌道長半径aの四つになります。 昇交点黄経Ωは、Ω=0、軌道傾斜角iは、i=0 となります。 太陽の軌道要素は、地心データとして与えられています。

7.太陽と地球の位置関係

地球を中心とする太陽の地心黄道直交座標を、太陽を中心とする日心黄道直交座標に変換すれは、地球の位置が求まります。

地心赤道座標

彗星の地心赤道座標(α,δ)を地心赤道直交座標(X,Y,Z)から求めます。 α=atan2( Y , X ) , δ=atan2( Z , sqrt(pow(X,2)+pow(Y,2)) ) <参考> Δ cosδcosα=X , Δ cosδsinα=Y , Δ sinδ=Z (Δ:地心距離)

地心赤道直交座標

彗星の日心赤道直交座標(x'c , y'c , z'c)と太陽の地心赤道直交座標(x's , y's , z's)から、彗星の地心赤道直交座標(X,Y,Z)を、次の式から求めます。 (X,Y,Z)=(x'c , y'c , z'c)+(x's , y's , z's)=(x'c+x's , y'c+y's , z'c+z's) 太…

日心赤道直交座標

彗星の日心距離である動径rと真近点角νおよび推算常数から、彗星の日心赤道直交座標(x'c , y'c , z'c)は、次のようになります。 x'c=Px(r cos ν)+Qx(r sin ν) y'c=Py(r cos ν)+Qy(r sin ν) z'c=Pz(r cos ν)+Qz(r sin ν)

6.推算常数

彗星の位置を、推算常数を用いて求める方法について説明をします。 軌道要素と黄道傾斜角を用いて表される推算常数の式は、次の通りです。 Px=cos ω cos Ω−sin ω cos i sin Ω Py=( cos ω sin Ω+sin ω cos i cos Ω ) cos ε−sin ω sin i sin ε Pz=( cos…

地心赤道座標

彗星の地心赤道座標(α , δ)を地心赤道直交座標(X,Y,Z)から求めます。 α=atan2( Y , X ) δ=atan2( Z , sqrt(pow(X,2)+pow(Y,2)) )

地心赤道直交座標

彗星の地心赤道直交座標(X,Y,Z)を、彗星の日心赤道直交座標(x'c , y'c , z'c)と地球の日心赤道直交座標(x'e , y'e , z'e)から求めます。 彗星の地心赤道直交座標は、 (X,Y,Z)=(x'c , y'c , z'c)−(x'e , y'e , z'e)=(x'c−x'e , y'c−y'e , …

日心赤道直交座標

日心赤道直交座標(x', y', z')を日心黄道直交座標(x , y , z)と黄道傾斜角εから求める式は、次のようになります。 x'=x y'=y cos ε−z sin ε z'=y sin ε+z cos ε 時間引数Tから軌道傾斜角εを求める式は、次のようになります。 ε=23+26/60+2…

5.赤道座標

赤道面を基準とした座標系で、黄道は赤道から黄道傾斜角εだけ傾いています。

日心黄道座標

黄緯引数u、軌道傾斜角i、昇交点黄経Ωから日心黄道座標(λ,β)を求めます。 tan c=cos i tan u tan β=tan i sin c c=atan( cos i tan u) λ=c+Ω β=atan( tan i sin c) このとき、cとuの角度は同一象限になります。もし、同一象限にない場…

日心黄道直交座標

彗星の六軌道要素から求めた真近点角νを用いて、黄緯引数uを求めます。 黄緯引数u=真近点角ν+近日点引数ω 彗星の日心黄道直交座標(x,y,z)は、黄緯引数u、昇交点黄経Ω、軌道傾斜角iと日心距離である動径rから、次の式で求めることができます。 x=…

4.黄道座標

黄道面を基準とした座標系である黄道座標について説明をします。

軌道上の位置

彗星の双曲線軌道上の位置P(x,y)は、離心近点角(相当)Eまたは真近点角νから求めることができます。 また、彗星の日心距離である動径rも求めることができます。 r=a(pow(e,2)−1)/(1+e cos ν)=a(e cosh E−1) x=r cos ν=a(e−cosh E) …

真近点角

離心近点角(相当)Eが求まれば、次の式により真近点角νを求めることができます。 ν=atan2( sqrt(pow(e,2)−1) sinh E , e−cosh E) <参考> POV−Rayでは、atan(y/x)=atan2(y,x) になります。 但し、atan(y/x)は、x=0のとき、使用できま…

離心近点角(相当)

双曲線軌道に離心近点角はありませんが、離心近点角に相当する角があるので、ここでは、それを便宜上、離心近点角(相当)Eと呼ぶことにします。 次に示すケプラーの方程式に相当する式から、離心近点角(相当)Eをラジアンで求めます。 M = e sinh E−e (…

平均近点角

彗星の位置を求めたい日時t、近日点通過日時Tとすれば、近日点からの時間も含めた日数(t−T) に、平均日々運動量nを掛けた値が、平均近点角Mになります。 M=n(t−T) (t−T)は、ユリウス日または修正ユリウス日を用いて求めることができます。

平均日々運動量

ガウス引力定数kと半主軸長aから、平均日々運動量nを求めます。 n=sqrt(GMs)/sqrt(pow(a,3))=k/pow(a,3/2)

半主軸長

彗星の軌道要素である、近日点距離qと離心率eから、半主軸長aを求めます。 a=q/(e−1) 半主軸長aは、漸近線の交点から近日点までの距離になります。

3.双曲線軌道

彗星の軌道要素の一つである離心率eがe>1の場合、彗星は、双曲線軌道になります。

軌道上の位置

彗星の放物線軌道上の位置P(x,y)は、真近点角νから求めることができます。 また、彗星の日心距離である動径rも求めることができます。 r=2q/(1+cos ν)=q(1+pow( tan ν/2,2)) x=r cos ν=q(1- pow( tan ν/2,2)) y=r sin ν=2q tan…

2)厳密解

ケプラーの方程式は三次式なので、厳密解を求めることができます。 平均近点角Mから、真近点角νの厳密解を求める方法は、 tan 2β=2/(3M) tan γ=pow( tan β,1/3) tan ν/2=2 cot 2γ=(1- pow( tan γ,2))/tan γ=S となり、 ν=2 atan S から、真近…