3)月出時刻

 「月出没の条件」で求めた月出時刻LMTrを仮の時刻として、月出時刻LMTrを再計算する。
 時刻は、求める月出時刻LMTrを初期値として、LMTr=LMTr−1 としておく。

 月出時の天頂距離ZDの解の誤差を±0.0005として、この絶対値を、浮動小数点で、Dj=5e-4 と指定する。
 初期値として、時刻の刻み幅となる単位が度の天頂距離の差Dzを、Dz=15 とする。

 もし、abs(Dz)>Djのときは、以下の計算を繰り返す。

 時刻をLMTr=LMTr+Dz/15 とし、仮の時刻LMTrから計算を始める。
 まず、知りたい月出没の南中時となる日Ymd に、時刻LMTrを追加した
 Ymdh=Ymd+<0, 0, 0 ,LMTr> により、ユリウス日JDを求める。

 ユリウス日JDから求めた時間引数Tを用いて、月の軌道要素から、地心黄道直交座標を求め、座標変換により、地心黄道座標を求め、黄道傾角εから、月の地心赤道座標(r,α,δ)を求める。

 次に、地方恒星時LSTを求め、HA=mod(LST−α/15,360) により、月出時の時角HAを得る。(月の赤経の単位を度から時間に直している)
 時角HAは、−180度から180度の間の値にしておく。

 この時角HAと月の赤緯δと場所の緯度ψから、月出時の天頂距離ZDを求める。
 LAT=radians(ψ)、DEC=radians(δ)、HA=radians(HA) により、単位を度からラジアンに変換し、
 月出時の天頂距離ZDを、
 ZD=degrees(acos(sin(LAT)×sin(DEC)+cos(LAT)×cos(DEC)×cos(HA))) から求める。

 時角HAから求めた月出時の天頂距離ZD と月出没の条件となる天頂距離ZDをZDcとして、その差DzをDz=ZD−ZDcで求める。

 差Dzが±Dj以内の値になったときに、時角HAから求めた月出時の天頂距離ZDが、月出没の条件となる天頂距離ZDcに等しくなったとして計算を終了する。
 このときの、時刻LMTrが地方平均太陽時での月出時刻となる。

 日本中央標準時JSTでの月出時刻は、「太陽の正中時」で説明した方法で、地方平均太陽時LMTをLMTrにすることにより得ることができる。