<首なし地蔵>

 踏み切りの近くに、誰も見向きもしない「首なし地蔵」がある。
 昔は、首から上もあったのだが。

 会社を首になり、ヤケ酒を飲んで、酔っ払っての帰り道、地蔵が目に入った。
 むしゃくしゃしていたのか、その地蔵を蹴っ飛ばすと、首がもげて転がり落ちた。
 そんなことには、目も留めず、踏切を渡っていると、吐き気に襲われ、うずくまった。
 そのとき、電車が来て、その男に接触、体を巻き込み、車輪で切断した首が、血しぶきと共に空高く舞い上がった。

 事故を調べにきた警官は、地蔵の首の上にその男の頭が乗っているを見た。