月の正中時

 正中には、天体が天の子午線を上方通過する場合と、下方通過する場合がある。
 上方通過を南中といい、その時刻を南中時という。
 ここでいう正中時とは、南中時のことをいう。

 南中時の時角は0なので、この時角が0となる時刻を求める。
 その求め方を次に示す。

 知りたい月出没の南中時となる日Ymdと場所の経度LONを指定する。
 このとき、ベクトルで、Ymd=<Y,M,D>とする。

 時角dTの解の誤差を±0.00001として、この絶対値を、
浮動小数点で、Tj=1e-5 と指定する。
 初期値として、開始時刻DHと時刻の刻み幅となる時角dTを、DH=0、dT=1 とする。

 求める時刻である南中時LMTcを、初期値として、LMTc=DH+dT としておく。
 もし、abs(dT)>Tjのときは、以下の計算を繰り返す。

 時刻をLMTc=LMTc−dT とし、知りたい月出没の南中時となる日Ymd に時刻LMTcを追加した
 Ymdh=Ymd+<0, 0, 0 ,LMTc> により、ユリウス日JDを求める。

 ユリウス日JDから求めた時間引数Tを用いて、月の軌道要素から、月の地心黄道直交座標を求め、座標変換により、地心黄道座標を求め、黄道傾角εから、月の地心赤道座標(α,δ)を求める。

 次に、「測心地平座標」で説明した方法で、地方恒星時LSTを求め、
dT=LST−α/15 により、時角dTを得る。(月の赤経の単位を度から時間に直している)

 時角dTを、−12時から12時の間の値にするため、
 もし、dT<−12 ならば、dT=dT+24 とし
 もし、dT>12 ならば、dT=dT−24 とする。

 時角dTが±Tj以内になっとき、LMTc<0 ならば、dT=1、DH=24 とし、もう一度計算をやり直す。LMTc≧0 ならば、計算を終了する。

 このときの、LMTcが月の南中時となる。

 日本中央標準時JSTでの月の南中時は、「太陽の正中時」で説明した方法で、地方平均太陽時LMTをLMTcにすることにより得ることができる。

 世界時UTは、UT=JST−9時間 により得られる。